がん治療と漢方薬他

癌研有明病院の星野恵津夫消化器内科部長の取り組み

がん患者さんは、日々全身の倦怠感や食欲不振や不眠などと戦っておられます。また、抗がん剤や放射線治療などの副作用も起きてきます。

そんな諸症状を漢方薬楽天 で軽減する方法を、癌研有明病院の星野恵津夫消化器内科部長が週2回「漢方サポート外来」で行っておられます。

星野部長は西洋医学はがんを攻撃するのは得意だが、がんに伴う諸症状は解決しないことが多く、そんな時に漢方が出番だと言われています。

患者さんの状態と症状の診断から、保険の効く147種類の漢方エキス剤のうちから最適なものを選んで処方されます。個人差があるので、効き具合をみながら組み合わせを調整されるそうです。

漢方でがんが治る証明はなく、症状にどのようにして効果をもたらしているのか詳しい仕組みはわかっていません。が、西洋医学の治療に行き詰まっても、漢方という別の方法を患者さんに提示できる意義も大きいと星野医師は言われています。

2008年4月から「漢方内科」など漢方薬を使う医療機関は、一般的な診療科名と組み合わせて表示することが可能になったので、がん専門病院でなくても同様の診察を受けられる施設もあるので、がんに伴う症状でお困りの方は探してみられてはいかがでしょうか。2009.2.15 読売新聞

漢方薬によるがんの諸症状の緩和

全身の症状と漢方薬の例
不眠・うつ 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 不眠・不安などの精神症状が強い時等。
黄連解毒湯(おうれんごどくとう) 体の熱や炎症をとり、機能の亢進をしずめる。イライラ感、不眠、動悸時等。
口の渇き 麦門冬湯(ばくもんとうとう) のどや耳下腺がんの放射線治療後つばが出ず口が渇く時等。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう) 体の灼熱感、発赤やカユミ、異常な口渇や多尿時。
呼吸困難 人参養栄湯(にんじんようえいとう) 肺転移、肺炎などによる咳・息苦しさに。
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) 風邪のひき始めで、倦怠感・悪寒がはげしく、発熱・節々の痛み時等。
食欲不振 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくカゼ、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っている時等。
茯苓飲(ぶくりょういん) 吐き気・胸焼けがあり尿量が減少する胃炎、胃アトニー等。
腸閉塞 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくカゼ、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っている時等。
大建中湯(だいけんちゅうとう) 体力がなく冷え症で、お腹をこわしやすい人に。
下痢 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) 胃腸の働きをよくし、食欲不振、胃もたれ、吐き気、嘔吐、お腹のゴロゴロ、下痢等。口内炎、神経症時にも。
真武湯(しんぶとう) 冷え性でやせ型、体力が低下し下痢や腹痛を起こす時。
便秘 麻子仁丸(ましにんがん) 体力が中からやや弱い人で、高齢の人の乾燥したコロコロ便に適す。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう) 血液循環をよくし、便通をつけたり、不安やイライラをしずめ気分を落ち着ける。ホルモンのバランスを整える効果もある。
夜間頻尿 八味地黄丸(はちみじおうがん) 足腰の痛み、しびれ、腎機能低下による夜間頻尿、性機能低下、乾燥肌のカユミや湿疹等。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん) 頻尿、排尿痛、残尿感などの排尿異常時。
手足のしびれ 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) 足腰の冷えや痛み、しびれ、夜間頻尿、多尿、尿量減少、むくみ、かすみ目、皮膚のかゆみ時。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 月経不順,月経異常,月経痛,更年期障害,血の道症,肩こり,めまい,頭重,打ち身(打撲症),しもやけ,しみ等。
ほてりなど更年期様症状 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 比較的体力があり、ときに下腹部痛,肩こり,頭重,めまい,のぼせて足冷えなどを訴える時。
加味逍遥散(かみしょうようさん) 乳がんのホルモン治療や子宮・卵巣がん手術後のほてり時。
疲れ、全身の気力・体力の低下 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 最もよく使われている。体力と気力を補い、元気をとりもどすのを助ける。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 体の疲れ、食欲不振、胃弱、夏やせ、こじれて長びくカゼ、痔、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っている時等。

身体がだるくてたまらない時、眠れない時、漢方の力をかりて少しでも気分良く過ごすことができたら幸いです。

お近くで漢方薬を取り入れておられる先生がたも少しずつ増えていると思います。医師、薬剤師さんの管理のもとに様子をみながらの服用が大事だと思います。漢方にも副作用(胃腸障害、高血圧、身体がむくむ、生薬アレルギーなど)はありますから、注意してください。

強度変調放射線治療(IMRT)

定位放射線治療の中で最も新しいのが、強度変調放射線治療(IMRT)だそうで、徐々に普及してきているようです。

定位放射線治療は、多方向からガン細胞に放射線を照射し、正常な細胞への影響を最小限に抑える治療です。

強度変調放射線治療(IMRT)は、放射線を照射量をコンピューターで自在に制御でき、複雑な形をした癌や、臓器や神経の近くにある脳や頭頸部や前立腺のがんなど、これまでに治療の難しかった部位にあるガンでも治療効果が出ているようです。

定位放射線治療では、他にサイバーナイフ、ガンマナイフという装置もありますが、複雑な形をした癌には対応が難しいそうです。

強度変調放射線治療(IMRT)でも正常組織への被爆は避けられず、副作用の評価は定まっていないが、他の治療で手の施しようがなかった患者を治療できた例もあります。しかし、使う側の習熟度が問われる装置でもあるそうです。

強度変調放射線治療(IMRT)は、2008年度から頭頸部と前立腺のがん、脳腫瘍で保険適用されています。2010年度からは、肺がん、肝臓がん、膵臓がんなども含む「限局した固形腫瘍」に適用範囲が拡大されました。

読売新聞が近畿・中四国の医療機関に取材した結果、骨盤や脊椎への転移なども治療している施設があり、小児の脳腫瘍も4施設が対応していました。

強度変調放射線治療(IMRT)を行う、近畿・中四国の医療機関

病院名 場所 小児の脳腫瘍にも
対応可は○
京都大 京都市
宇治武田病院 京都府宇治市
都島放射線クリニック 大阪市
NTT西日本大阪病院 大阪市
彩都友紘会病院 大阪府茨木市
近畿大 大阪府大阪狭山市
奈良県立医大 奈良県橿原市
天理よろづ相談所病院 奈良県天理市
鳥取大 鳥取県米子市
倉敷中央病院 岡山県倉敷市
広島平和クリニック 広島市
四国がんセンター 松山市

2010.11.21現在

粒子線治療

粒子線を利用した治療です。大がかりな施設が必要なために、現在、我が国では7カ所でのみ粒子線治療が行われています。

粒子線治療の特徴
  1. がん細胞だけをピンポイントでねらいうちできます。
  2. 手術か難しいがんの場合に適応されます。
  3. 散らばった小さながんには、不向きです。
  4. ぜんどう運動をする胃がん、大腸がんや血液のがんには粒子線治療は行われません。
  5. 脳腫瘍、目のがん、頭頸部のがん、肝臓がん、肺がんなどに粒子線治療が行われます。

粒子線治療は、今は先進治療のために保険適応なしです。約300万円の費用がかかります。後は入院費と検査費がかかります。

民間保険では、先進医療特約のついているものもあり、掛け捨てで月々100円程度からあるそうです。詳しくは、保険会社へお問い合わせください。2009.12

がんペプチドワクチン療法

手術では取り切れないガン、肺転移したガンなどに、ガンが小さくなる最新療法のがんペプチドワクチン療法が試されています。まだ、試験段階だそうですが、副作用がほとんどなく、前立腺癌、脳腫瘍、子宮頚癌、大腸癌などでガンが元の大きさの半分以下に縮小した症例が複数あったようです。

東京大学の中村祐輔氏がワクチンの開発をされたようです。重いガン患者は約20万人いるそうですが、これといった治療法もないままあきらめている状況です。

一筋の光をこのがんペプチドワクチン療法に見いだしている患者さんもいます。岩手医科大の藤岡知昭教授、山口大の正明教授もがんペプチドワクチン療法を行っています。週1回の注射を続けることでガンの縮小を期待することができます。

がんペプチドワクチン療法は、試験段階であるので、この療法を受けるには制約があります。施設が限られていること、対象となる疾患が限られていること、他の治療法を一定期間受けていることなどです。

どうしても受けてみたい方は、主治医の先生に相談されてみてはいかがでしょうか。まだ、自由診療の段階なので、数十万円(約6回分で)かかるようです。病院自体がいくらか負担する所もあり、病院によっても自己負担は違うと思います。2009.6.13

2012.2.6のあさイチでの情報

2012年2月6日、NHKの「あさイチ」では「驚き!がんワクチン治療最前線」という題で放送していました。

中村祐輔さん(東京大学医科学研究所、ヒトゲノム解析センター教授)が出演されていました。中村教授は、1000人の患者さんの組織からがん細胞のみを切り取り調べました。がん細胞は、膀胱がん、乳がん、肺がんなど、それぞれが様々な形をしています。そして、がん細胞の表面にも特徴があります。ペプチドの形が違っています。そして、数百種類のペプチドを見つけました。

樹状細胞ががん細胞の特徴を記憶して、キラーT細胞に異物の特徴を教えます。キラーT細胞は、がん細胞を攻撃しますが、がん細胞の数が多ければ、全てを攻撃することはできません。

ペプチドが多いと、樹状細胞が異常事態を感知してパワーアップし、キラーT細胞も異常事態を完治してパワーアップして、がん細胞を攻撃します。

臨床研究への参加の条件

・がんの種類・進行度・白血球の型・数・リンパ球の数・治療歴・期間・人数などの条件が合わなければ、がんワクチン治療の臨床研究に参加できません。

条件があるために、希望されても、半数~1/3の人しか参加できないようです。

臨床研究が行われている大学病院

がんペプチドワクチン療法は、ペプチドワクチンを注射して、がん患者さん自身のもっている免疫の力を高 めてがんの増大を抑えることを目的として開発されたものです。

現在、中村祐輔さん(東京大学医科学研究所、ヒトゲノム解析センター教授)たちが見つけたがん特異的なタンパク質をもとに、免疫を高める可能性のあるペプチドを同定して、それらを利用した臨床研究を多くの医療機関の協力を得て実施しているそうです。

また、がんペプチドワクチン療法は研究段階で、効果が得られることが確実ではありません。予期せぬ重篤な副作用(これまではない)が発生する危険性が無いとは言えません。そういうことも理解して、参加を申し込む必要があります。

がんワクチン療法に関する一般的な質問がありましたら、東京大学医科学研究所03-3443-8111(代表)のヒトゲノム解析センター中村研究室にご連絡下さい。2012.2.3

食道がん・・・東大医科研中村研究室
胃がん・・・大阪府立成人病センター、消化器外科、責任者・藤原義之、06-6972-1181
大腸がん・・・山口大学、消化器・腫瘍外科、責任者・岡正朗、担当医・硲彰一、0836-22-2264、未治療進行癌
大腸がん・・・近畿大学、外科、責任者・奥野清隆、担当医・杉浦史哲、072-366-0221
大腸がん・・・東海大学、消化器外科、責任者・安田聖栄、0463-93-1121
肝がん・・・熊本大学、消化器内科、責任者・佐々木裕、担当医・横峰和典、096-373-5150
膵癌・・・和歌山県立医科大学、第2外科、責任者・山上裕機、担当医・宮澤基樹、073-447-2300、標準療法不応術後再発予防
膵癌・・・山口大学、消化器・腫瘍外科、責任者・岡正朗、担当医・鈴木伸明、0836-22-2264、未治療進行癌
肺がん・・・滋賀医科大学、腫瘍内科、責任者・醍醐弥太郎、077-548-2111、標準療法不応
肺がん・・・福島県立医科大学、呼吸器外科、責任者・鈴木弘行、024-547-1111、術後再発予防
乳がん・・・国際医療福祉大学、三田病院、乳腺センター、責任者・吉本賢隆、担当医・白川一男03-3451-8121
乳がん・・・東京医科大学、茨城医療センター、乳腺科、責任者・藤森実、担当医・藤田知之029-887-1161
子宮頸がん・卵巣がん・・・岩手医科大学、産婦人科、責任者・杉山徹、担当医・竹内聡、019-651-5111
頭頸部がん・・・熊本大学、歯科口腔外科、責任者・篠原正徳、担当医・吉武義泰、096-373-5681
固形がん・・・川崎医科大学(岡山県)、臨床腫瘍科、責任者・山口佳之、086-462-1111(胃癌、大腸癌、乳癌)
固形がん・・・九州大学、先端分子細胞治療科、責任者・谷憲三朗、092-642-5200、連絡窓口はがん相談支援室
脳腫瘍(神経膠芽腫)・・・慶應大学、脳神経外科、責任者・戸田正博、03-5363-3808、標準療法不応

久留米大学病院では、がんワクチン外来がある

がんの治療法がこれ以上ない人が、年間300人受診しているそうです。15年間で31種のペプチドを発見しました。

大学の臨床研究に参加するとともに、ワクチン代の一部は患者さんの負担となります。肺がん・小細胞がんと1年半前に診断された男性は、抗癌剤を打ちましたが、副作用がひどくて呼吸が止まりそうになりました。二度と抗癌剤はしたくないと思いました。

友人から、がんワクチン療法を教えられ、治療を受けました。4種類のワクチンを同時に体内へ入れます。血液検査をしてからのテーラーメードペプチドワクチンを受けています。これは、まだ承認されていません。

半年で100万円の費用がかかります。主治医の紹介がいるそうです。

保険診療になるには、ステップをふまないといけません。今、臨床研究から、治験の第1相、第2相、第3相までいっている物もあります。後は申請と承認の手続きが必要となります。

早くがんペプチドワクチン療法が、使えるようにしたいものです。国の予算を多くつける、患者さんの協力、製薬会社の協力も必要になります。全ての人の協力により、欧米に負けないで、日本製のがんペプチドワクチンがいち早く作られることを望みます。

千葉徳州会病院

今回、千葉徳州会病院が行う研究は、東京大学医科学研究所との共同研究で、膵癌の細胞に発現するペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法です。

正式な名称は「標準療法不応、進行・再発膵癌に対する新規腫瘍抗原KIF20A由来A2402拘束性エピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法;第I/2相臨床試験」です。

30名の参加人数に達しましたので締め切りとさせていただきます」とのことです。

がんペプチドワクチン療法2

国立がんセンター東病院でのがんペプチドワクチン療法の取り組みが放送されていました。

69歳で肝臓ガン、肺への転移のある方で、がんペプチドワクチン療法を受けておられます。2003年12月に6.4センチの進行癌が肝臓に見つかり2/3切除されました。その後肺への転移が起こり、おう吐したり食べられない状態が続いたようです。

がんペプチドワクチンは、1回目注射後2週間を経てから2回目の注射が行われます。そして、2週間後、がんへの効果があるとわかれば引き続き注射を受けられるそうです。副作用としては、注射の部位が赤くなる程度だそうです。

まだ、臨床試験中なので、希望してもがんペプチドワクチン療法を受けられるかどうかはわかりません。5年後の実用を目指しています。2009.10

抗がん剤治療について

現在、毎年70万人の新たなガン患者が増えているそうです。そして、抗がん剤の専門医は451人と少ないようです。110種類の抗がん剤があるようですが、経験のない医師が抗がん剤を与えるのは危険だそうです。

肺がんで抗がん剤のイレッサの服用後、肺炎で死亡した患者の親は、副作用の説明を受けていなくて患者が亡くなってしまったので、副作用の説明も受けた上での納得して死ぬのなら我慢できるのにと言っていました。

抗がん剤は、通院でも受けられるようですが、入院しての使用を義務付けることも必要と言われます。容態の急変が起きることもあるからです。

がん患者が増えている今、早急に抗がん剤の専門医を増やして欲しいものです。2011.1

がん予防がん予防2がん予防の食べ物も合わせてお読みください。

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更新日:2020/03/15