丸いもの
たっくんは、丸いものが大好きだ。バーチャンが、お茶を出した後に小さな お盆楽天 を提げて歩いていると、すかさずたっくんが言う。
「それ、かして」
「いいよ」
たっくんは、にこにこして両手でお盆を持つと少し回転させながら部屋を行ったり来たりする。
「ブウー、ブウー、ブウーーーーー」
「それ、ハンドルのつもり?車運転しているの、じょうずだね」
「バーチャンも後ろについて」
「バーチャンもして」
「バーチャンもしてよ」
何度も頼まれると重い腰も上げなくては。
こうして、バーチャンはたっくんの後ろのシャツをちょぃと引っ張って「ブー、ブウーブウーーー」と、たっくんの友達に変身するのだ。
ある時は、写真立ての額の飾りがハンドルになった。周りは四角だが、中が楕円にくりぬいてあるものだ。
中の写真はたっくんのお喰い初めの時のもので、写真立てはテレビの上の目立つ所に飾っていた。夏に二歳違いの弟が生まれたこともあり、たっくんの赤ちゃんの時のようすを見せてやろうと思いだしたからだ。
たっくんは遊びに来ると、すぐに見つけた。そして、弟が写っていると言う。「たっくんが写っているんだよ」と、教えても半信半疑のようだった。覚えていないから当然なのだが。幼児が自分が写っていると認識できるのはいつごろなのだろうか。
たっくんは、写っている自分よりも、並べられているジュースや食べ物の方が欲しいようで、「このジュース飲みたい」と催促した。
来る度にこの写真を持って遊んでいるうち、額を飾ってあるプラスチックが取れた。はがき大の四角に中を大きく楕円にくりぬいた形だ。
このプラスチックの四隅には小さな薔薇の花とつぼみが浮き彫りにされ、楕円との間は薔薇のつるの繊細な曲線で埋められている。にぶい金色で塗られてアンティーク調に仕上げてある。
たっくんは、この外れた額をハンドルにして御機嫌で遊んでいる。幼児も綺麗なものには敏感なのだろう。
今一番のお気に入りのハンドルは、クッキー缶の蓋で、ピーターラビットとその仲間達が優しい色で写実的に描かれている。2007.04.19
赤ちゃんとおもちゃ
おもちゃ美術館館長の多田千尋さんが、赤ちゃんの月齢に合わせたおもちゃ選びを示されている。1歳になるまでを大まかに4段階に分けて考えるとよいらしい。
月齢 | 4段階 | おもちゃ |
---|---|---|
3ヶ月まで | 耳の時代 | がらがら |
3~6ヶ月 | 目の時代 | メリー、動きがあって形や色がはっきりしたおもちゃ |
6~9ヶ月 | 手の時代 | 触って楽しいおもちゃ |
9ヶ月~ | 口の時代 | 親子で言葉のキャッチボール |
手の時代に素材や重さの異なる様々なおもちゃで遊び、手や指をよく使っておくことが大切と、多田先生は言われている。危なくないように気をつければ、台所のボウルや使わなくなったリモコンなどもおもちゃになるようです。
読売新聞「赤ちゃんABC」2007.10.2から抜粋
お母さんの工夫とセンスで、わが子独自のおもちゃを作ったり、探し出してきても楽しいかと思います。がんばってみてください。お子さんが大きくなった時、「お母さんは、こんな手づくりおもちゃで遊んであげていたのよ」と自慢してください。そのためにも、証拠写真を撮っておくことをお忘れなく。
おすすめの2歳児用のおもちゃ
- マリンバやピアノなどの打楽器類
- デュプロ、LEGOなどの組み立て式のブロック
- 母と子、父、友達などの役割分担がはっきりわかる人形のセット
- 組み立て、分解ができるおもちゃ
- パズル
- 楽器とは違う音の出るおもちゃ
- ガラガラのついたおもちゃ
- アーチ式の立体そろばん
- 小さなものから大きなものと、いろいろな大きさのそろっているカラーカップ
- ひらがな、カタカナが印刷されている積み木
- ままごとセット
- かるた
おもちゃは、徐々に買ってください。与えるタイミングも誕生日、クリスマス、こどもの日などに計画的に買って上げてください。そして、一緒にあそんであげてください。
上の2歳児のおもちゃは、東京知育研究所所長の櫻井正孝先生のおすすめのおもちゃです。