大腸がん

大腸がんは、男性のがん罹患の第3位、女性のがん罹患の第1位となっています。そして、大腸がんは、男女合わせた死亡者数が、肺がん、胃がんについで3番目に多いがんとなっています。女性では、大腸がんの死亡者が最も多くなっています。

日本の大腸癌の増加は、欧米型の食事が増えていることとの関連もよく聞きます。大腸癌の切除により、人工肛門を付けておられる方も身近におられます。大腸癌の予防法なども学びたいです。

大腸がんとは

大腸は消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収しながら大便作ります。多種、多量の細菌も存在します。

大腸は約2mの長さで、結腸と直腸、肛門からなります。大腸粘膜のあるところではどこからでもがんができますが、日本人ではS状結腸と直腸が大腸がんのできやすい部位です。S状結腸と直腸にできる大腸がんが、全体の65%を占めています。

一生の間に大腸がんになる人の割合は、男性が12人に1人、女性が16人に1人です。

大腸がん楽天 は、50歳代あたりから増加し始め、高齢になるほど高くなります。大腸がんの罹患率、死亡率はともに男性のほうが女性の約2倍と高く、結腸がんより直腸がんにおいて男女差が大きい傾向があります。

男女とも罹患数は死亡数の約2倍あり、これは大腸がんの生存率が比較的高いことを表しています。

欧米型の脂肪摂取が多く繊維質の少ない食事が、大腸癌の頻度をあげているのではと言われています。高齢化も要因の一つだそうです。

遺伝性大腸がんという病気もありますが、全大腸がんの1〜数%と少ないそうです。大腸がんは、がんになりやすい体質、食習慣などが複合して発病するようです。

大腸がんの症状

大腸がんに特徴的な症状はなく、良性疾患でもがんと類似した症状がおきます。今までに無かった下痢や便秘が表れるなど、排便習慣に変化が見られたら、ぜひ精密検査を受けましょう。

S状結腸や直腸に発生したがんにおきやすい症状は、血便、便が細くなる(便柱細少)、残便感、腹痛、下痢と便秘の繰り返すなどです。

中でも血便の頻度が高く、これはがんの中心が潰瘍となり出血がおきるためです。痔と勘違いして受診が遅れることがあるので注意が必要です。がんによる血便では肛門痛がなく、暗赤色の血液が便に混じったり、ときに黒い血塊が出るなどの特徴があります。

肛門から離れた盲腸がんや上行結腸がんでは血便を自覚することは少なく、貧血症状が表れて初めて気がつくこともあります。腸の内腔が狭くなりおこる腹痛や腹鳴、腹部膨満感や痛みを伴うしこりが初発症状のこともあります。

進行がんでは、嘔吐などのがんによる腸閉塞症状や肺や肝臓の腫瘤(しゅりゅう)が発見されることもあります。

大腸がんの検査

血液検査

2013年7月、三重大学では0.5mlの血液で大腸がんが92%の高確率で判明する手法を確立したと発表しました。

楠教授のグループは、日本人282人の血清を分析しました。大腸がん患者は、大腸がんで多く発生する「miR—21」と呼ばれるマイクロRNAが健常者の約5倍に増えることを発見しました。ポリープ患者でも約2倍となり、82%の確率で判定できるそうです。0.5mlの血液があれば約3時間で判定可能だそうです。

便潜血反応検査

集団検診では、便潜血反応検査が行われます。最近では、国立がんセンター中央病院(現国立がん研究センター)で手術を受けた30%近くの方が便潜血反応で発見されています。通常2回検査を受けますが、どちらも陽性の場合には精密検査(内視鏡検査など)を受けます。

全早期大腸がん患者を分析したら、便潜血検査で10人中3〜5人が陽性と出ますが、残りの人は見逃されていると言います。家族に大腸がん患者が多い人は内視鏡検査を定期的に受けると良いそうです。

便の潜血検査は、1年に1回程度、ポリープがなければ2〜3年に1回の内視鏡検査を受けるとよいそうです。検査で異常がなくても、血便や便通異常の症状があったら必ず受診してください。便の形や排便時の感じがいつもと違う症状は、大腸がんの初期に見られるそうです。

注腸造影検査
食事制限の後、下剤で前処置を十分行います。肛門からバリウムと空気を注入し、X線写真をとります。注腸造影検査では、がんの正確な位置や大きさ、腸の狭さの程度などがわかります。
大腸内視鏡検査
肛門から内視鏡(ビデオスコープ)を挿入して、直腸から盲腸までの全大腸を詳細に調べる検査です。検査当日に腸管洗浄液を1〜2リットル飲んで大腸内をきれいにしてから検査をします。(80歳以上の人は検査前日からの入院も行われます)検査は20分程度で終わり、多くの場合大きな苦痛もありません。開腹手術後で腸の癒着している方、腸の長い方は多少の苦痛がありので、軽い鎮静・鎮痛剤を使用することがあります。検査は、まず内視鏡を肛門から一番奥の盲腸まで挿入して、主にスコープを抜いてくる際に十分に観察します。直接モニター画面を見ながら医師の説明を聞くことができます。ポリープ等の病変を認めた場合、悪性か良性かどうかを調べるために病変の一部を採取して、どういう性状の病変かを顕微鏡で調べることもあります。内視鏡的に切除することもできます。
腫瘍マーカー
血液の検査で、身体に潜んでいるがんを診断します。CEAとCA19-9と呼ばれるマーカーが一般的で、進行大腸がんであっても約半数が陽性を示すのみだそうです。腫瘍マーカーは転移・再発の指標として、また治療効果の判定基準として用いられています。
画像診断
画像診断としては、CT、MRI、超音波検査、PETなどがあります。大腸がんに関しては、原発巣での進みぐあいと肝臓や肺、腹膜、骨盤内の転移・再発を調べるために用いられます。PET検査では、骨盤CT、骨盤MRIでも判断できないような骨盤内再発の発見、転移・再発部位が発見される場合があります。しかし、PETは万能の検査ではありません。

病期と生存率

大腸がんには、Dukes(デュークス)分類とTNM分類のステージ分類が使われています。

がんの大きさではなく、大腸の壁の中にガンがどの程度深く入っているか、リンパ節転移、遠隔転移の有無によって進行度が規定されています。各病期の手術後の5年生存率を括弧内に記載します。

大腸がんは、粘膜と粘膜下層にとどまるものを早期がん、それ以外を進行がんと言います。粘膜下層まで達しているがんは、リンパ節転移している可能性があり、その時には手術が必要です。虎ノ門病院では、早期がんの割合は平均25%といわれます。胃がんの65%と比べると、大腸がんは早期発見の割合が低いことがわかります。

デュークス分類

デュークスA(95%):がんが大腸壁内にとどまるもの

デュークスB(80%):がんが大腸壁を貫くがリンパ節転移のないもの

デュークスC(70%):リンパ節転移のあるもの

デュークスD(10%):腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの

ステージ分類

0期:がんが粘膜にとどまるもの

I期:がんが大腸壁にとどまるもの

II期:がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器におよんでいないもの

III期:リンパ節転移のあるものIV期:腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの

大腸がんの治療

治療法には内視鏡治療、外科療法、放射線療法、化学療法があります。

内視鏡治療

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)は、茎のあるポリープをスコープを通してスネアとよばれるループ状の細いワイヤーを、茎の部分に引っかけて締めて高周波電流で焼き切ります。内視鏡的粘膜切除術(EMR)では、無茎性、つまり平坦なポリープや腫瘍の場合は、ワイヤーがかかりにくいため、病変の下層部に生理食塩水などを注入して周辺の粘膜を浮き上がらせ、広い範囲の粘膜を焼き切ります。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、主に胃において行われているESD(内視鏡的粘膜下層剥離術・病変を電気メスで徐々にはぎ取る方法)を応用し、大きな腫瘍も一括で切除できるようになってきています。内視鏡治療ができるものは、がんの大きさが2cm以内で、その形にもよるそうです。そして、取った組織を顕微鏡で見ないと判断できません。

ジャーナリスト・鳥越俊太郎さんの場合

2010年、70歳になられたジャーナリスト・鳥越俊太郎さんは、2005年に人間ドックの検査で便に潜血反応があり、内視鏡検査をしたら大腸ガンが見つかったそうです。

2005年10月、直腸にある腫瘍を腹腔鏡で切除し、11月の初めにはテレビに復帰したそうです。その後、肺と肝臓への転移があり、手術を受けました。定期検査を受けながら、がんとうまく付き合いながら暮らしておられます。

鳥越氏は、転移を予想していたので、CTとエコー検査を組み合わせ、3ヶ月に1回ずつ受けていて転移がわかったそうです。

外科手術

進行がんは手術しかなく、粘膜下層にまで食い込んでいる場合、顕微鏡で見て、粘膜の下から1mm以上入っていれば手術になります。周囲のリンパ管や静脈に入っていれば即手術です。

大腸などの消化管の手術を受ける患者さんの約3割が、70歳以上だそうで、80歳以上は、全体の約1割に相当します。

  1. 結腸がんの手術、結腸がんの場合、切除する結腸の量が多くても、術後の機能障害はほとんど起きないそうです。リンパ節の切除とともに結腸切除術が行われます。
  2. 直腸がんの手術、自律神経温存術、肛門括約筋温存術、局所切除、人工肛門などの手術かせ行われます。
  3. 腹腔鏡手術、炭酸ガスで腹部を膨らませて、腹腔鏡を腹部の中に入れその画像を見ながら小さな孔から器具を入れて手術が行なわれます。がんを摘出するために1ヶ所、4〜8cmくらいの傷ができます。手術時間は開腹手術より長めですが、小さな傷口で切除が可能、術後の疼痛も少なく、術後7〜8日前後で退院できる負担の少ない手術です。早期退院し、社会復帰もできることから、医療費削減につながると期待されています。しかし、高度な手術の技術と、高価な器具が必要です。また、執刀医の視野が限定されるという問題もあります。
手術後の管理
手術時の病期により異なりますが、手術後3年間は3〜6ヶ月に1度通院し、胸部X線検査、肝臓のCT、超音波検査、腫瘍マーカーなどの検査を受けます。厳重な追跡検査を受ければ、再発の8割を2年以内に見つけられます。成長の遅い大腸がんもあるので5年間の追跡は必要です。3年目以降は半年に1度の検査で十分だそうです。
手術の後遺症
排便機能の障害、排尿障害、特に男性の性機能障害があるようです。こうした機能を温存する手術も工夫されています。
大腸がんの転移
胃がんから、肝臓や肺への転移は、多くの例が切除できないそうです。大腸がんの転移は、広がらず切除できる範囲にとどまっていることが多く、そのような場合には手術でとれるようです。また、下痢がひどい人は、下痢止めを処方してもらいましょう。抗がん剤で下痢気味になることもあるそうです。医師に相談し、服薬は続けるべきのようです。

女優・中原ひとみさんの場合

1997年12月に大腸がんの手術を受けられました。1年ほど前、舞台稽古中に貧血で倒れ、その後に下痢が続いていたそうです。

何故だろうと思いながらも、時間が過ぎていき、知り合いの病院で便潜血検査を受けたら、陽性と出ました。内視鏡では取れないと言われ手術しました。

今では、がんの手術をしたことを忘れるぐらい元気になって、仕事を続けておられます。

フリーアナウンサー・押阪忍さんの場合

押阪忍(おしざかしのぶ)さんは、30年以上前から、毎年人間ドックを受けています。2009年5月に受けた検診で、精密検査を受けたほうがいいと言われました。

大きな病院でポリープが見つかりました。しかも、進行がんもあり、手術となりました。ショックで2、3日、自問自答する日があったようです。今は2人に1人ががんになる時代と知り、清水の舞台から飛び降りる気持ちで執刀をお願いしたそうです。

早期発見が幸いし、成功しました。そして、今元気に活躍されています。

放射線療法

手術が可能な場合の骨盤内からの再発の抑制、手術前の腫瘍サイズの縮小、肛門温存をはかることなどを目的とした手術に対する補助的な放射線療法と、切除が困難な場合の骨盤内の腫瘍による痛み、出血などの症状の緩和、延命を目的とする緩和的な放射線療法があります。

抗がん剤・分子標的治療薬など

抗がん剤を使った治療には3種類あるそうです。

  1. 手術ができないほど進行した場合に延命を目的に使います。
  2. 手術の前に、がんをできるだけ小さくするために使います。
  3. 手術後、再発を防ぐために使います。(術後補助化学療法)

5年生存率を調べた研究では、術後補助化学療法を受けた人は74%で、受けなかった人より11ポイントも高い結果がでたそうです。また、従来薬にオキサリプラチン(一般名)を加えた場合には、さらに生存率が4ポイント上がることがわかりました。

最近、分子標的治療薬が出ましたが、この薬は、がん細胞にある特定のたんぱくなどを狙い撃ちにして、がんをやっつける薬です。抗がん剤より副作用が少ないと言われますが、正確には、副作用の種類が違うそうです。

抗がん剤の副作用では、脱毛、白血球の減少、吐き気が主なものです。分子標的治療薬の副作用では、皮膚に発疹が出たり、出血しやすくなったり、血圧が上がったりします。

抗がん剤
  1. 5-FU(5-フルオロウラシル)+ロイコボリン、胃がんや食道がんにも使われています。週に1回点滴する方法や、2週間に1回持続点滴を行う方法、週に1回肝動脈へ点滴する方法なあります。副作用は下痢、口内炎などの粘膜障害、白血球が減る、手指の皮膚が黒くなる、食欲の低下などがあります。
  2. イリノテカン、10年ほど前から用いられ、胃がんや肺がんでも広く使用されている薬です。大腸がんには、単独あるいは、5-FU/ロイコボリンとの併用で使われます。併用する場合には5-FUを短時間(15分)で投与する方法(IFL療法)と、5-FUを短時間で投与した上でさらに46時間持続的に投与する方法(FOLFIRI療法)の2種類あります。副作用としては、食欲の低下、全身倦怠感、下痢、白血球が減る、脱毛などがあります。
  3. オキサリプラチン、単独ではあまり効果を発揮しないようですが、5-FU/ロイコボリンとの併用(FOLFOX療法)では、FOLFIRI療法とほぼ同等の治療成績だそうです。この2つの療法が現在の大腸がん化学療法の柱となっています。副作用は、食欲の低下、全身倦怠感、下痢、白血球が減る、脱毛などがあります。白血球や血小板が減ったりすることもあります。
  4. その他、経口剤であるUFT/LV、UFT、S-1なども患者さん自身の状況に応じて使い分けられます。
分子標的治療薬
分子標的治療は、患者さんの抗がん剤の分解酵素の遺伝子を調べ、適正な量で投与するため、KRAS(ケーラス)検査が行われます。そして、投与対象者の絞り込みを行います。KRAS(ケーラス)遺伝子に変異がない人(約60%)は、セツキシマブなどの抗EGFR抗体薬による治療効果が期待できます。KRAS(ケーラス)遺伝子に変異がある人(約40%)は、抗EGFR抗体薬以外の治療法を選択します。効かない薬を使わないことで、医療費の削減につながります。セツキシマブの副作用は、にきび状の発疹や爪の変化が出るそうです。日焼け防止、ステロイドクリームや保湿クリームを塗ったり、皮膚を清潔に保つことで緩和できます。KRAS(ケーラス)検査は、内視鏡検査や手術で採った組織の一部からDNAを抽出して調べます。検査費用は3割負担の人で、6000円程度だそうです。セツキシマブは、転位性大腸癌で効果を見せています。

大腸がんの予防法

運動
適度な運動はがん予防になります。運動が予防法として、最も根拠がある方法だそうです。また、肥満は大腸がんになりやすくするので、注意が必要です。
食事療法
大腸ガンも日本人の食生活の変化とともに増加してきたガンです。洋食中心から和食中心にします。動物性蛋白や脂肪の摂取は少なくし、かわりに食物繊維を多く摂取するようにします。とくに、肉食、脂肪の摂り過ぎが、ガンの発生率を高めているのです。そして偏食して野菜の摂取量が少ないと、ますます大腸ガンにかかる確率が高くなります。野菜類、豆類、果物、穀類、海草類、きのこ類、ビタミンC・Eを多めにとることです。野菜は、カリウムやビタミンC、カルシウムを多く含むのに加え、繊維質が多く、便秘の解消につながります。また、発ガン作用がある胆汁酸を抑えるためとも言われていますが、まだ仮説の段階です。また、ハム、ソーセージなどの加工肉を控えることも勧められています。専門医の先生の話では、食物繊維、ニンニク、カルシウム、牛乳を摂取すると、大腸がんになる危険を減らすそうです。野菜、果物、ビタミン、魚も良いそうです。
便秘
大腸ガンの原因ともなりやすいのが便秘です。大便には各種の発ガン物質がありますが、少しでも早く体外に排出することが大切です。また、運動不足が便秘の原因ともなりますから、適度な運動も必要です。
禁煙・禁酒(減酒)
喫煙と大腸がんの発生も密接に関係しているといわれています。飲酒と大腸がんの関係もあるようです。
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Author:Tomoko Ishikawa Valid HTML5 Valid CSS
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更新日:2016/08/24